[お部屋] 巴マミ(31歳) :  

[お部屋] 巴マミ(31歳) :  

[お部屋] 巴マミ(31歳) : チェックインを済ませて、少ない荷物を抱えて部屋に案内される

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 想定と違って、二人で部屋を使うことになったけど

[お部屋] 森久保乃々 : 「お…お邪魔します……」

[お部屋] 巴マミ(31歳) : それでも広いと言えるくらいには今日の旅館は良いところだ

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「どうぞ、森久保ちゃん」

[お部屋] 巴マミ(31歳) : にこりと笑って

[お部屋] 森久保乃々 : 「はい……」
そそっ、部屋の中に入っていく。

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「こう見ると一人じゃ広すぎたわね」

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「丁度良かったかしら、ねぇ」

[お部屋] 森久保乃々 : 「そうですね……」

[お部屋] 森久保乃々 : 「私の部屋の方はもっと広いですし…こっちの方が落ち着きます」

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「あら、もっと広いの」

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「いいお部屋なのねぇ…」
此処より広いなんて、ホントビックリ

[お部屋] 森久保乃々 : 「一応、家族で来る予定だったので……」

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「ああ、団体用の…」

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「成程、それはそうね」

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「ま、今回は2人でね」

[お部屋] 巴マミ(31歳) : とてとて歩いて

[お部屋] 巴マミ(31歳) : コートを脱いで、景色を眺める

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「冬景色ねぇ…」
少し寂しげだが、温かい温泉街を見て

[お部屋] 森久保乃々 : 「あっ……はいっ」
やや緊張した風に

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「…大丈夫?」

[お部屋] 巴マミ(31歳) : やっぱり慣れない大人と一緒は厳しいかしら…

[お部屋] 森久保乃々 : 巴さんと一緒の部屋……まだちょっと実感がわかないというか……意外というか……

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「あ、そうだそうだ」
ちょっと話題変えましょう

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「温泉だし…あったあった」

[お部屋] 森久保乃々 : ……少し、憧れてたから…。

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「ほら、御茶菓子食べる?」
自由にとっていい茶菓子を指して

[お部屋] 森久保乃々 : 「あ、ありがとうございます……」

[お部屋] 森久保乃々 : 「いただきます……」

[お部屋] 森久保乃々 : ちびちびと、少しずつ食べる

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「私の分も如何?」
ひょいと取って

[お部屋] 森久保乃々 : 「………」

[お部屋] 森久保乃々 : 「おいしいですので、巴さんも一緒に」

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「…む、じゃあ」

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「お言葉に甘えましょうか」

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「お茶は如何?」
一緒に用意されてたお茶を取り

[お部屋] 森久保乃々 : 「ありがとうございます…」

[お部屋] 巴マミ(31歳) : いつもは紅茶だけど、郷に入れば…だしね

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「はーい」
コポコポと、お茶を淹れて

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「熱いから気を付けてね?」

[お部屋] 森久保乃々 : 「はいぃ……」
巴さん、優しい………。

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「じゃあ私も…」
お饅頭を開けて

[お部屋] 巴マミ(31歳) : ぱくり、一口

[お部屋] 巴マミ(31歳) : あら…甘い

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「…おいしい」
顔を綻ばせて、お茶も一口

[お部屋] 森久保乃々 : 「ふふ……っ」
マミの顔を見て、ふと笑みがこぼれる。

[お部屋] 森久保乃々 : 本当に大した事はしてないけど、私の提案で喜んでくれたのが嬉しい。

[お部屋] 巴マミ(31歳) : あ、笑った

[お部屋] 巴マミ(31歳) : よかったよかった、楽しんでくれてるわね

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「ごちそうさま」
饅頭を食べ切り

[お部屋] 森久保乃々 : 「ごちそうさまです」
お茶を飲みきり

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「ふう…この後どうしましょうか」

[お部屋] 森久保乃々 : せ、せっかく巴さんと一緒なのに、話す内容がない。

[お部屋] 森久保乃々 : 「ど…どうしましょうか?」

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「えーっとぉ…」
私がやろうと思ってた事はだけど

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「此処の温泉に浸かるとか、お料理食べに行くとかかなぁ」

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「温泉街だし、色々あるわよ?」

[お部屋] 森久保乃々 : 「お料理……」

[お部屋] 森久保乃々 : 「少食ですが…少しきになる……」

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「ここだと…」

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「ああそうだ、お豆腐とかお蕎麦のアイスクリームなんかが美味しいわよ?」

[お部屋] 巴マミ(31歳) : パンフレットを取り出して

[お部屋] 森久保乃々 : 「お蕎麦……」

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「温泉は…ゆっくり景色を楽しむのがいいらしいわね」

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「ええ、お蕎麦で作ったなんてすごいわよね」
物珍しそうに

[お部屋] 森久保乃々 : 「景色…………」

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「硫黄の香りがほんのり、切り傷とかの効くそうね」

[お部屋] 森久保乃々 : ちょっと、勇気だして……

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「色々楽しめそうよ?」

[お部屋] 森久保乃々 : 「巴さんと、色々……その」

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「?ええ」

[お部屋] 森久保乃々 : 「見て回って、みたい……です」

[お部屋] 巴マミ(31歳) : パンフレットから目を離し

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「あら…」

[お部屋] 巴マミ(31歳) : パァっと、笑顔になり

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「…ええ、一緒に回りましょうか」

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 彼女がしっかりそう言ってくれるのは、存外嬉しい

[お部屋] 森久保乃々 : 「でも私はここよくわからなくてその……」

[お部屋] 森久保乃々 : 「巴さん…お、」

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「ええ!」

[お部屋] 森久保乃々 : 「………おねがいします」

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「一緒に行きましょうか、ふふ」
にこにこ答えて

[お部屋] 巴マミ(31歳) : なんだか、当初とは違うけど

[お部屋] 巴マミ(31歳) : でも、やっぱり

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 一人より、こういう方が楽しいわ!

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「ね、最初がどういうのが気になる?」

[お部屋] 森久保乃々 : ちょっとだけ……頼りすぎちゃって申し訳ないです。
でも、巴さんと一緒に色々見て回れるのは……嬉しい。

[お部屋] 森久保乃々 : そんな気持ちがこぼれたかのように顔が少しほころぶ。

[お部屋] 森久保乃々 : 「そうですね……」

[お部屋] 巴マミ(31歳) : うんうん、嬉しそうに頷きつつ

[お部屋] 森久保乃々 : 「ふむむ……」
パンフレットを凝らして見る。

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「あら、どうぞ」
すっと森久保の前に広げて

[お部屋] 森久保乃々 : 「……とりあえず近場の川、見に行きたいです」

[お部屋] 森久保乃々 : 「温泉街って…感じがする……」

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「…ほほう」

[お部屋] 巴マミ(31歳) : 「よし!じゃあ見に行きましょうか!」

[お部屋] 巴マミ(31歳) : ひょい、立ち上がり

[お部屋] 巴マミ(31歳) : さっき立て掛けたコートを着直して

[お部屋] 森久保乃々 : 「はい……!」
少しだけ元気そうに、準備をする。

[お部屋] 森久保乃々 :

[お部屋] 小路綾 : ……本当に、私が嫌になるわね…!
ああもう、運動しておけばよかったわ…!

[お部屋] 小路綾 : 湯舟から上がり終わり、自分と竜華の体から軽く水気を払って。

[お部屋] 清水谷竜華 : 「……ぅ……う~ん……」

[お部屋] 小路綾 : 今は、予約していた一室へ。
扇風機やエアコンをフルで働かせている。

[お部屋] 小路綾 : 「……あ、竜華っ、竜華!!」

[お部屋] 清水谷竜華 : ……意識が、ぼんやりと、戻って……。

[お部屋] 小路綾 : がば、と竜華の顔前に顔を寄せて。

[お部屋] 清水谷竜華 : 視界のピントも、徐々に戻って────。

[お部屋] 清水谷竜華 : 「……っ!?」

[お部屋] 小路綾 : 「目を覚まして……竜華……!!お願いっ!」

[お部屋] 清水谷竜華 : くわっと目を見開く。眼前に広がる、ウチの好きなヒトの顔。

[お部屋] 小路綾 : 必死に声をかけ続ける。

[お部屋] 清水谷竜華 : 「おわぁああぁ!!」

[お部屋] 小路綾 : 必死さは、顔にも表れて。
近いとか、そんなの気にしてられないほどに、我を忘れ。

[お部屋] 清水谷竜華 : 「……あ、綾…… ……あ……」
いつの間にか、元の着替えに戻っており……。

[お部屋] 清水谷竜華 : ………ぁー、ウチ確か……銭湯で……あー……。

[お部屋] 清水谷竜華 : ……え、ウチ、元の姿に……?……あぇ、ウチの体……もし、かし、て……?

[お部屋] 小路綾 : その声に、ようやくほっと肩をなでおろす。

[お部屋] 清水谷竜華 : 耳元が、徐々に赤くなりつつも……。

[お部屋] 清水谷竜華 : 「…………ごめんな、綾」
最初の言葉。

[お部屋] 清水谷竜華 : 申し訳なさそうに。

[お部屋] 小路綾 : 「……よかった、心配させたじゃないの、もう…」

[お部屋] 清水谷竜華 : 「………あはは、楽しい旅行にする言うたのは、ウチやもんな」

[お部屋] 清水谷竜華 : 「ほんま、情けあらへん先輩やわ、ウチは」

[お部屋] 清水谷竜華 : 自嘲するように。

[お部屋] 小路綾 : つい、素直に言葉を述べられなかった。
綴れなかった。

[お部屋] 小路綾 : 「え、あ……」

[お部屋] 小路綾 : まるで自分を卑下するようなその態度に、押されながら。

[お部屋] 小路綾 : 「……そんな事、別に…ないわよ!」

[お部屋] 清水谷竜華 : 「………んへへ」

[お部屋] 清水谷竜華 : そんな綾の顔を見て、返事を聞いて。にへらと笑う。

[お部屋] 清水谷竜華 : 「綾は、ほんま可愛い後輩やわぁ」

[お部屋] 小路綾 : 「そっ、それに……情けないなんて、私の先輩なのに、そんな事言わないで欲しいわ!」

[お部屋] 清水谷竜華 : 綾を見上げるこの体勢で、手を、ゆっくりと上げ。

[お部屋] 清水谷竜華 : 綾の頬に、手を添える。

[お部屋] 小路綾 : ああ、もう……!!私、全然素直になってくれな……

[お部屋] 清水谷竜華 : 「……うん、せやな……それも、反省やな」

[お部屋] 小路綾 : 「…え」
……え

[お部屋] 清水谷竜華 : にっこりと、笑ってみせる。

[お部屋] 小路綾 : かわい、というか……ふぇ、えええ……!?

[お部屋] 小路綾 : 今日何度目かの、真っ赤な顔。
触れる手の熱が、じわりと伝わってくる。

[お部屋] 小路綾 : 「……そっ、その…」
目線を逸らしながら。

[お部屋] 小路綾 : 「……いつもの、元気のいい……竜華はどうしたのよっ」

[お部屋] 清水谷竜華 : ……ウチ、多分、分かったわ……。

[お部屋] 清水谷竜華 : ウチは、綾に抱いている、この、可愛いと思ってしまう感情の正体。

[お部屋] 清水谷竜華 : こうして、頭冷やして、よーやっと分かったわ。

[お部屋] 清水谷竜華 : 他の子に抱く可愛いと全く違う"可愛い"。
むしろ……"愛しい"に近いこの感情は、まさしく────。

[お部屋] 清水谷竜華 :  

[お部屋] 清水谷竜華 : 愛情。

[お部屋] 清水谷竜華 :  

[お部屋] 清水谷竜華 : 「……ふふ、せやねぇ、いつもの元気なウチ、どっか行ってもうたわ~」

[お部屋] 小路綾 : ………ずーっと、ずっと…なんだか。
竜華相手だと……本音が伝わらない、その気持ち。

[お部屋] 清水谷竜華 : 揶揄うように、悪戯な笑みを浮かべながら。頬は、赤く。

[お部屋] 小路綾 : もやもやして、うにうにして、ぐるぐるする。
……ああ、形容しがたい、熱がこもるこの感覚……

[お部屋] 小路綾 : 「……そう、ね……」

[お部屋] 小路綾 : 添えられた手に、重ねる様に。
奇しくも湯舟の時の、あの時とは逆で。

[お部屋] 小路綾 : 「……ねえ、竜華……」

[お部屋] 清水谷竜華 : 「……ん、なんや、綾」

[お部屋] 清水谷竜華 : 僅かに残る、温泉の香りが鼻腔を通り抜ける。

[お部屋] 清水谷竜華 : 優しい表情で、綾を見つめたまま。

[お部屋] 小路綾 : 「……よく、竜華は私の事を気にしてくれてるわよね」

[お部屋] 清水谷竜華 : 「……そやねぇ」

[お部屋] 小路綾 : ぴとり、と。
肌はなんだか、離れなくて。

[お部屋] 小路綾 : 「……なんで、かしら…」

[お部屋] 清水谷竜華 : 「……………」

[お部屋] 清水谷竜華 : ────愛情を無くす前に、きちんと伝えることが大事だな
───────さもないと永遠に後悔するぞ

[お部屋] 小路綾 : ……気になっていた。
自分でもわかってる。しっかり者は、自称しない。

[お部屋] 清水谷竜華 : 「……聞きたい?」

[お部屋] 小路綾 : こんな、おっちょこちょいを、気にかけてくれている理由が。

[お部屋] 小路綾 : 「………聞かせて、ほしいの」

[お部屋] 小路綾 : ……その答えが、私のもやもやと…どこか、似ているような気がしたから。

[お部屋] 清水谷竜華 : 頬が緩み、すぅ……っと、息を吸い。

[お部屋] 清水谷竜華 : ああ、また、ウチの心臓が昂ってきたわ。

[お部屋] 清水谷竜華 : でも、うん、ウチ、決心したわ。

[お部屋] 清水谷竜華 : 伝えへんまま、蓋をするのは、もう……嫌や。

[お部屋] 清水谷竜華 : ほんま、情けない先輩でごめんな?綾。

[お部屋] 清水谷竜華 :  

[お部屋] 清水谷竜華 :  

[お部屋] 清水谷竜華 :  

[お部屋] 清水谷竜華 : 「好きだから────────綾のこと」

[お部屋] 清水谷竜華 :  

[お部屋] 清水谷竜華 :  

[お部屋] 清水谷竜華 :  

[お部屋] 清水谷竜華 : 噛みしめるように、言葉を紡ぐ。

[お部屋] 小路綾 : 「……………」

[お部屋] 小路綾 : ────顔は、いつものように赤くなっていない。

[お部屋] 小路綾 : むしろ、頬だけが薄く紅でいて。

[お部屋] 清水谷竜華 : 「返事は?」

[お部屋] 清水谷竜華 : 堂々と、綾の瞳をじっと見つめて。

[お部屋] 小路綾 : ………それなら、きっと。

[お部屋] 清水谷竜華 : これで壊れるなら、もう、それでええんや。

[お部屋] 小路綾 : 「もちろん────」

[お部屋] 小路綾 :  

[お部屋] 小路綾 :  

[お部屋] 小路綾 :  

[お部屋] 小路綾 : 「好きよ──────竜華」

[お部屋] 小路綾 :  

[お部屋] 小路綾 :  

[お部屋] 小路綾 :  

[お部屋] 小路綾 : にっこりと、そう返して。

[お部屋] 清水谷竜華 : くすり、と微笑む。
綾の頬に手を添えたまま。

[お部屋] 小路綾 : 覆いかぶさった、その掌を、ぎゅっと握りしめる。

[お部屋] 清水谷竜華 : ……ああ……ウチ………。

[お部屋] 小路綾 : 「…………ふふ」

[お部屋] 清水谷竜華 : 「……ふふふ」

[お部屋] 小路綾 : ぼふん。

[お部屋] 小路綾 : 耐えきれなかったように、顔が真っ赤になる。

[お部屋] 清水谷竜華 : ……こんな可愛い恋人に巡り合えただなんて………なんて、幸運者なんやろうか。

[お部屋] 清水谷竜華 : 「……あ ……ふふ、かわええなぁ、ほんま」

[お部屋] 小路綾 : 純情乙女、小路綾。
恋話ですら顔が赤くなるのに、ましてや、自らが告白など。

[お部屋] 小路綾 : 「も、もう…もう……!!」

[お部屋] 清水谷竜華 : 心の中で思ったことを、そのまま口へ経由する。

[お部屋] 小路綾 : あわあわ、真っ赤な顔でその言葉を受け取ってしまい。

[お部屋] 清水谷竜華 : 今日の温泉街は、人混みに溢れている。
外の喧騒も、しっかり聞こえてくる。

[お部屋] 清水谷竜華 : でも、この部屋だけは────。

[お部屋] 小路綾 : ああ、ああああああ~~~!!
な、なにこれっ、なにこれええっ!!

[お部屋] 清水谷竜華 : 今だけは────────。

[お部屋] 清水谷竜華 : ────────二人だけの世界。

[お部屋] 小路綾 : はずかしくて、穴があったら入りたいし、熱すぎる、熱い!!
……でも

[お部屋] 清水谷竜華 : 止められない、ウチの想い。
可愛い。愛しい。好き。

[お部屋] 小路綾 : 「………嬉しいこと、そんな軽く…言わないで、よぅ……」

[お部屋] 清水谷竜華 : どんどん溢れてくる。
止めなくても……ええんやね、この気持ち。

[お部屋] 小路綾 : 最後は、途切れ途切れに。

[お部屋] 清水谷竜華 : 「ごめんて、あはは」

[お部屋] 清水谷竜華 : 「…………」

[お部屋] 清水谷竜華 : 「……ありがとう、綾」

[お部屋] 清水谷竜華 : 「ウチの想い」

[お部屋] 清水谷竜華 : 「……受け止めてくれて」

[お部屋] 小路綾 : ……気になっていた、その気持ち。
もやもやとした、気持ちは晴れ、残ったのは真っ赤な純情。

[お部屋] 小路綾 : 「……もちろんよ」

[お部屋] 小路綾 : 「あなたの思いは……私が、私だけが…受け止めてあげるんだから」

[お部屋] 小路綾 : ぎゅう、と強く握り返して。

[お部屋] 清水谷竜華 : 「うん────────綾だけに送る、ウチの……本当の素顔や」

[お部屋] 清水谷竜華 : 一滴の涙が、頬を伝う。

[お部屋] 清水谷竜華 : じんわりと、心にも広がる、温かさ。

[お部屋] 清水谷竜華 : 「………この旅行、もっと……もーっと」

[お部屋] 清水谷竜華 : 「楽しいものに、しような」

[お部屋] 清水谷竜華 : にっこりと、笑う。

[お部屋] 小路綾 : 「あ……もう……」

[お部屋] 小路綾 : 「涙は女の子に似合わないって、どこかで聞いたわよ」
くすり、と笑いながら。

[お部屋] 小路綾 : いつかのように、涙を指で掬う。
今度もまた、逆で。

[お部屋] 小路綾 : 「……もう十分楽しいわ」

[お部屋] 小路綾 : 「だって………その………」
目線がズレながら、ぽつりぽつり。

[お部屋] 小路綾 : 「………恋人、と、一緒に、……ごにょごにょ」

[お部屋] 清水谷竜華 : 「………ふふふ」

[お部屋] 小路綾 : ……あ、ああ、ああ!!

[お部屋] 清水谷竜華 : ふふ、ふふふふ。

[お部屋] 清水谷竜華 : 「せやね、ウチら、もう……ね、恋人、やもんね」

[お部屋] 小路綾 : …言っちゃった、言っちゃった……私から、恋人、って……

[お部屋] 小路綾 : 「……っ!」

[お部屋] 清水谷竜華 : そうして、ゆっくりと腰を上げ……。

[お部屋] 清水谷竜華 : 「……ほな、もっと思い出作りせんと、な!」

[お部屋] 清水谷竜華 : 綾の手を、握り。

[お部屋] 小路綾 : ……あ、う…竜華から、言われた……『コイビト』……
なんて、いい言葉、なのかしら……

[お部屋] 小路綾 : 「…そ、っ…そうね…!!」

[お部屋] 小路綾 : その手を、握り返した。

[お部屋] 小路綾 :  

[お部屋] 小路綾 :  

[お部屋] 小路綾 :  

[お部屋] 胡桃 :

[お部屋] 胡桃 :

[お部屋] 胡桃 : ……ぱたん。

[お部屋] 院田唐音 : 「フ、胡桃……」

[お部屋] 胡桃 : 後ろを振り返ることもできないまま、手を引いて入った部屋のドアが閉まる。

[お部屋] 胡桃 : 「……ごめんね、私のわがままに付き合わせちゃって」

[お部屋] 院田唐音 : 「だから…私は……そんなんじゃなくて…」

[お部屋] 胡桃 : 「……」

[お部屋] 胡桃 : 「……なんか変なんだ、こっちに来てから……やりすぎちゃうっていうか」

[お部屋] 院田唐音 : 「そんなこと…私こそいつも素直に気持ちを言えないせいで…」

[お部屋] 院田唐音 : 「私…私は……」
手をぎゅっと握る
ああ、私に素直になれる勇気をください

[お部屋] 胡桃 : 「……っ」

[お部屋] 胡桃 : その感覚に、おそるおそる…ゆっくりと、唐音を振り返る

[お部屋] 院田唐音 : 「私は本当は…」
その顔を、目を見て…意を決したように

[お部屋] 院田唐音 : 「胡桃と一緒に食べたいの!!夕食も!恋人ジュースも!!」
今の気持ちを、素直に、半ば自棄になったように叫ぶ

[お部屋] 胡桃 : 「……!!」

[お部屋] 院田唐音 : 「だから…そんな顔しないで」
「私と一緒に……!」

[お部屋] 院田唐音 : そこまで言って耐えられなくなり、真っ赤になった顔を伏せる

[お部屋] 胡桃 : 「……………………あ」

[お部屋] 胡桃 : 何かが決壊するように。

[お部屋] 胡桃 : 「あはは……!!あはははははっははははは!!!」

[お部屋] 院田唐音 : 「…………へ?」

[お部屋] 胡桃 : 「……あーー……なんてこった……はぁ、私の方が踊らされてたってこと……?」
ぽろぽろと流れる涙を隠して。

[お部屋] 胡桃 : 「……えっと、だから……そのさ」

[お部屋] 胡桃 : 飾る言葉が見つからずに。

[お部屋] 胡桃 : 「唐音のこと、好きで……愛してて、いいの?」

[お部屋] 院田唐音 : 「すっ…あいッ……!?」
口をパクパクさせる

[お部屋] 胡桃 : 「……だって、だってさっ」

[お部屋] 胡桃 : 「……言えないじゃん、こんなの。私だって今すっごい恥ずかしいんだから」

[お部屋] 院田唐音 : 「なっ…何言って……」
ツンデレの業…つい否定してしまいそうになる
恥ずかしいから、素直になれないから

[お部屋] 院田唐音 : でも…ここは素直にならなきゃいけないってことは私でもわかる
だから…

[お部屋] 胡桃 : 「……」
じっと、唐音の言葉を待つ。

[お部屋] 院田唐音 : 「す、すすすっ好きでいてもいいわよ!?」
「私だって胡桃のことが………好き

[お部屋] 院田唐音 : ………………………………な訳じゃないんだからね!!!??」
恥ずかしさを抑えきれず、たっぷり数秒の間を開けてツンデレる

[お部屋] 胡桃 : 「…………ぷふっ」
神妙な顔つきが崩れる。

[お部屋] 院田唐音 : 「~~~~ッ!!!」
もはや茹でダコ状態である

[お部屋] 胡桃 : 「あはは……うんうん。それでこその唐音だよね」
こくこくと首を縦に振り

[お部屋] 院田唐音 : 「……ッ!何よ!悪い!?」
顔を下に向けて隠すが、胡桃の手は固く握りしめたまま

[お部屋] 胡桃 : 「ううん。とっても良かったし、とっても可愛かった」

[お部屋] 胡桃 : 手の感触を確かめながら。

[お部屋] 胡桃 : 「だからさ」

[お部屋] 胡桃 : 「その可愛らしいお顔を、私にもっとよく見せてくれないかな」

[お部屋] 胡桃 : 空いた手で、唐音の頬を持ち上げる。

[お部屋] 院田唐音 : 「へゃ!?」
素っ頓狂な声と共に、真っ赤な顔が上がる

[お部屋] 胡桃 : 「私も唐音のこと言えないや。ちょっかいばっかりで、自分の中の本当の気持ちに気づけないままだったから」

[お部屋] 胡桃 : 「……だから、さ。二人の時くらいは……本心をぶつけてみてもいいかな、って」

[お部屋] 胡桃 : ゆっくりと顔を近づける。

[お部屋] 院田唐音 : 「あ……あぅ……」
いつもの馬鹿力はどこへやら
振り払うこともできず……いや、振り払うことはせず、ただ胡桃の顔を見つめる

[お部屋] 胡桃 : ……そのまま、互いの視線、息と息が重なり。

[お部屋] 胡桃 :

[お部屋] 胡桃 :

[お部屋] 胡桃 : ……最後に、唇を。

[お部屋] 胡桃 :

[お部屋] 胡桃 :

[お部屋] 胡桃 : 「……てい」
さらに、脇腹を。

[お部屋] 院田唐音 : 「はうっ」
ぼーっとしていたので虚を突かれる

[お部屋] 胡桃 : 「あっははは!!」

[お部屋] 胡桃 : 「ごめんごめん、やっぱり我慢できなかった」
照れ隠しするように小さく笑いつつ。

[お部屋] 院田唐音 : 「も、もう……仕方ない奴ね…」

[お部屋] 胡桃 : 「えへへ」

[お部屋] 院田唐音 : 「全く………ふふっ……」
そんな胡桃を見て、無意識に笑いが漏れる

[お部屋] 胡桃 : 「っ……ふふっ」
その笑みに、さらに引きずられるように。

[お部屋] 胡桃 : 「……もう異論ないでしょ。恋人ジュースも」
ちゃっかりトレイに乗せてきたグラスとストローを仰ぎ。

[お部屋] 院田唐音 : 「う、うん……」
恐る恐る手を伸ばす

[お部屋] 胡桃 : 「んっ」

[お部屋] 胡桃 : 「……あー、なんだ……改めてやると恥ずかしいな、もうっ」

[お部屋] 胡桃 : ストローを摘まみ。

[お部屋] 院田唐音 : 「そうね……」
顔の近さにドギマギしながらストローに口をつけ吸う

[お部屋] 院田唐音 : すぐ側の顔を意識し過ぎると恥ずかしくて死にそう
なのでジュースの味に神経を集中させる

[お部屋] 院田唐音 : 「……美味しい」

[お部屋] 胡桃 : 「ん……なんてーか、甘酸っぱい」
目の前にある表情を満足げに眺め。

[お部屋] 胡桃 : 「……部屋ん中まで持ってきて良かったかも。絶対他ん奴らに揶揄われるわ、こりゃ」

[お部屋] 院田唐音 : 「確かに……2人っきりで良かった…」

[お部屋] 胡桃 : 「うん。……それに、二人っきりなら……嬉しそうな唐音の顔も、私が独り占め」

[お部屋] 院田唐音 : 「……っ!もう……恥ずかしいじゃない!」
嬉しそう、ということは否定しなかった
少し素直になれたのかな

[お部屋] 胡桃 : 目を細め、うんうんと相槌を返す。

[お部屋] 胡桃 : 「……さ!ご飯はまだまだあるし……何より私たち、まだアレ行ってないもんね!気付いてる?唐音」

[お部屋] 院田唐音 : 「………あ、そもそもここに来た目的だったわね…」

[お部屋] 胡桃 : 「そうそう!これで入り逃したら何のための旅行だっての」

[お部屋] 胡桃 : 「食べ終わった後、ゆっくり入ろっか。遅い時間なら私たちの貸し切りかもよ」

[お部屋] 胡桃 : 悪戯っぽい笑みを浮かべて。

[お部屋] 院田唐音 : 「か、貸し切り……ふんっ!それも悪くないんじゃない!」

[お部屋] 胡桃 : 「あはは、二人で洗いっこしよっか。唐音の足裏は私の愉快な爪先が既に洗っちゃったみたいだけどね?」

[お部屋] 院田唐音 : 「いいわよ…足裏の借りを返してやるわ…!」

[お部屋] 胡桃 : 「ひぇぇ……!何卒ご勘弁を!」

[お部屋] 胡桃 : 笑いながら、すす……と唐音の横に回り込み、身体を傾けて体重を預ける。

[お部屋] 院田唐音 : 「ふふっ…」
素直な笑みを溢しながら…胡桃を受け入れ、重さと熱を感じる

[お部屋] 院田唐音 : 何だか暖かくて…幸せな気持ち

[お部屋] 胡桃 : 唐音の手から受けていた温もりが、今度は身体じゅうに感じる。

[お部屋] 胡桃 : 願わくば、こんな幸せな時間が……いっときの冗談で、終わりませんように。

[お部屋] 胡桃 :

[お部屋] 胡桃 :